
望月さん、こんにちは。
いろんな不動産会社のホームページを見ると、“未公開物件あります!”って書かれてますよね。やっぱり、いろんな会社を回った方が、いろんな物件情報が手に入るんでしょうか?

とてもいい質問ですね。それでは今回は“不動産の未公開物件の真実”について、詳しくご説明していきますね!

よろしくお願いいたします
1.大前提:物件情報は基本的に業界全体で共有されています
まず理解しておいていただきたいのは、「物件情報は業界全体で共有されている」ということです。
不動産業界には「REINS(レインズ)」という物件情報流通システムがあります。このREINSには、売主から売却を依頼された物件が登録され、基本的にはどの不動産会社でもその物件を紹介できる仕組みになっています。

図のようにSUUMOやathomeなどのポータルサイトに掲載されているからといってその物件を扱えるのは、掲載している会社だけではなく、どの不動産会社からでもその物件を取り扱うことが可能なのです。
しかしながら、不動産業界はいまだに古いビジネスモデルが根強く残る“化石産業”。インターネットやREINSが普及する前の感覚で、「未公開物件」などの響きでお客様を惹きつけようとするマーケティング手法も残っています。
本質的には、掘り出し物のような「未公開情報」はほとんど存在しません。ただし、いくつかの特定の状況において“広告できない=未公開”という状態があるのも事実です。
2.建築確認前の新築分譲情報:広告できないから“未公開”
未公開物件の代表格が「新築建売住宅の建築確認前情報」です。
不動産広告にはルールがあり、建築確認(建物の設計が法的に適合しているかの審査)が下りていないと、広告を出してはいけません。
建売会社は土地を仕入れたあと建築確認を取得し、それから広告の依頼を不動産会社に委託しますが、土地の仕入れ(売買契約~所有権の移転)には通常3か月ほどかかります。
この期間中は、広告できない状態となり、不動産会社では“未公開物件”として扱われることがあります。

当然土地を建売会社に紹介した不動産会社しかその土地に将来建売が建つことを知らないわけですから、未公開物件としてお客様に紹介できるのはその会社のみの独占情報となりうるわけです。
ただし、実際には「業プロ(業者専用の情報共有サイト)」という仕組みがあり、多くの不動産会社がそのサイトを経由して建築確認前の情報も共有しています。したがって「他社では紹介できない」というほどの情報優位性は薄れつつあります。

ちなみに世の中で未公開物件として謳っているほぼ大半の情報は、この建売情報の水面下情報のことになります。
3.売却依頼を受けた直後の数日間だけ発生する“未公開”
次に、売却依頼を受けてからREINSやポータルサイトに掲載されるまでのタイムラグも、“未公開物件”と呼ばれることがあります。
不動産会社が売主と媒介契約を結んだあとの流れは、以下の通りです。
- 査定依頼(インターネットなどから)
- 訪問査定・面談で媒介契約
- まずは建売会社や中古物件の場合は買取再販業社に情報を流す
- 条件が合わなければ、既存顧客に紹介
- その後、ポータルサイトに掲載
- (専任媒介契約なら)7日以内にREINS登録
ポータル掲載までの2~5日程度の間は、たしかにその不動産会社でしか紹介できない「未公開」の状態になります。
ただし注意していただきたいのは、条件が良い物件、例えば好立地で地型が良く、価格も妥当もしくは割安な物件は、消費者の手前にいる「建売会社や買取再販業者」が真っ先に買っていくため、未公開情報というのは消費者にとってそれほどおいしい情報ではないことがほとんどです。

どうして業者にまず流すんですか?

「ダブル両手」という利益構造があるからです

売主から土地の売却を任され、それを建売会社に売ると1回目の「両手取引(売主・買主双方から仲介手数料)」が発生します。
その後、建売会社が建物を建ててその販売も依頼してくると、また両手取引が可能になります。1件の土地で2度おいしい取引ができるのです。
つまり、不動産会社が仕入れた物件情報をいち早く建売会社等に流したくなる背景には、こうしたビジネス上の都合があるというわけです。
したがって消費者の元に届く「未公開物件」は、業者が買わなかった物件。立地や価格にお得感を期待しても、実はそうでもないということが多いのがおわかりいただけるかと思います。
この利益構造のせいで不動産業者は積極的に”ダブル両手”を狙うようになるため、売主にとってもっと広い広告活動をしてもらった方が高く売れたかもしれない可能性をつぶされたり買主にとっても建売以外の最適な提案があったかもしれないのに、建売を押し売りされたりする可能性があるのです。

どうしたらいいんでしょうか?

この利益構造がある限り不動産業者を責めてもどうしようもないと思っています。
消費者が知識を付けて、このような業界構造だと理解したうえで住宅購入相談をするしか今のところ自身を守る手立てはないかと思います。ぜひ信頼できる担当者を探してください。消費者が自分を守れるだけの情報発信をこれからも続けていきますね。
無料相談はLINEにて承ります。
4.広告できない事情を抱える売主による“静かな売却”
まれなケースとして、売主様の事情で情報を外に出さずに売却したいというケースもあります。
たとえば、離婚や相続、周囲に知られたくないプライベートな理由がある場合。
こうした場合には、REINSやポータルに掲載せず、不動産会社の顧客ネットワーク内で静かに売却活動を進めることがあります。
5.まとめ
「未公開物件=お得」というイメージは、不動産会社の広告戦略によって作られた幻想です。
実際には、明らかに割安な物件や“掘り出し物”は業者が先に取得しており、消費者に届くのは“業者が買わなかった物件”がほとんどです。
大切なのは、「物件情報そのもの」よりも、「その物件があなたの人生にどれだけ豊かさをもたらすか」を見極める力です。
資産性・居住性・構造の安定性・健康リスク・建物寿命など、複雑に絡み合う要素を整理して、正しく判断してくれる信頼できるエージェントに出会うことこそが、安心で満足いく不動産購入につながります。
物件情報の“質”より、“判断力”を支えてくれるパートナー探しを
未公開情報という甘い言葉に振り回されず、あなたの人生と資産を守ってくれる、信頼できる不動産エージェントを見つけてくださいね。

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